月経前不機嫌性障害(PMDD)

月経周期を持っている女性はエストロゲンプロゲステロンの2種類のホルモンを持っています。 

通常は月に1回排卵が起こり、排卵後はエストロゲンとともにプロゲステロンが分泌されます。

月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)の症状は、排卵後から月経までの期間、つまりプロゲステロンが分泌されている時期にのみ起こる、というのが特徴です。


排卵している女性は、毎月女性ホルモンの変動という身体的なストレスにさらされているともいえます
 

では、どうして月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)が軽い人もいれば、重くつらい人もいるのでしょうか?

多少の体重増加やむくみ、乳房の張りなどは、生理的な変化なので、だれでもある症状として病的ではないと言えます。
 

しかし、「精神的な症状」の多く、例えば、イライラやうつっぽくなる、神経過敏などや「身体的な症状」の頭痛、動悸、不眠などは、PMS/ PMDDの症状であるとともに、実は「潜在性鉄欠乏性貧血」の症状でもあることが分かっています。

 

血液検査で貧血がなくても、潜在性鉄欠乏性貧血は起こるのです。

 

これは、一般の病院(婦人科)での貧血の検査は、保険点数の制限があるために、ヘモグロビン(Hb)やヘマクリット(Ht)の数値だけで診断し、貯蔵鉄の数値までは調べないために、潜在性鉄欠乏性貧血は見逃されてしまうのです。

ある病院でのデータによると、一般の検査で貧血ではないと診断された場合でも、より詳細な検査をおこなうと、月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)の症状を持っている女性のほとんどに、潜在性鉄欠乏性貧血の診断がでました。

 

そして、強い月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)の方のほとんどが、ヘム鉄を中心とした栄養療法によって、約3ヶ月間でデータの改善とともに症状が改善されています。 
 

・精神症状が強く、抗うつ薬や抗不安薬などを内服しても症状が改善しない方 ・貧血の症状があるのに検査をしても異常なしと診断されている方は、特に「潜在性鉄欠乏貧血」の可能性が非常に高いと言えます。 
 


深刻な月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)の症状を抱えている方は「潜在性鉄欠乏性貧血」を疑い、まず食生活を改善し、医師の診断を受け、適切な治療が一番です。

 

鉄は過剰症の心配があるので、自己判断で鉄のサプリメントを飲むのはお薦めできません。

ただ、日本のサプリメントは内容分がやさしくできているので、どかどか取らない限りは大丈夫とは思いますが、医師の診断のもとに血液検査を行った上で、ヘム鉄(有機でくるまれた安全で吸収力の高い鉄)の形で摂取するのはいいと思います。 

 

いずれにしても、月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)の症状が重いと感じるなら、大きな病院で診察を受けた方がよいです。

 

それでも、体を温めるなどの自分でできるセルフケアは必要です。

 

 

 


 

| この記事をYahoo!ブックマークに登録 この記事をはてなブックマークに追加 はてなブックマーク数 この記事をdeliciousにブックマーク この記事をクリップ! クリップ数